パイロット74
Mニブ 1本(グリーン)、コースニブ 1本(黒)
日本を代表する万年筆メーカーの至高の一本です。
1992年の発売ということですが、私が最初にグリーン色のMニブを入手したのは、だいぶあとのことだと思います。
書き味は秀逸です。私が手にしたパイロットの製品で最初に「いいなー」と感じたのがこの74でした。
この製品は、ペリカンのM400スーベレーンとかモンブランの146.パーカー51と比較されるべき日本を代表する万年筆です;
この74が発売された前後から、廉価品から高級品までおしなべて万年筆の書き味が向上しました。
私が推測するに、ドイツのニブの販売商社であるシュミット社や、ニブの製造販売業者であるBoch社やJoWo社の安価で高性能なニブが、全世界の安価な商品を販売する万年筆メーカーにOEM供給されたことで、安価で書き味の良い万年筆が世界中に広まりました。
世界の主要な万年筆メーカーもこれらに対抗して高精度に加工されたニブを装着した万年筆を安価に販売せざるをえなくなり、このことで、世界に流通する万年筆の書き味が格段に向上したのではないかと考えます。
これらの変化の根底には、高度なニブポイント加工のオートメーション化があるとは思うのですが、詳しいことはわかりません。
パイロットも例外ではなく、この74は、エージングを必要とせず最初からスムーズに筆記できます。
この万年筆の唯一の欠点は、デザインです。セーラーと違ってモンブランの146,149をコピーしなかったことは、「さすがパイロット」と褒めてあげたいのですが、このデザインはいけません。
「はっきり言って、野暮です」。また、もう一つの欠点は実用性に徹したデザインにもかかわらず、インク確認窓がないことです。
使っていれば慣れて、このデザインも愛着がわくのではないかと思ってましたが、ダメでした。
野暮ついでに、胴軸を色付きの透明にしてはどうでしょうか?(そういった商品も販売されたようですね)
実用性のみを優先させた野暮なデザインに徹すれば、「用の美」で新たな美も生じるのではないでしょうか?